全日本ロードレース最終戦「第50回 MFJグランプリ スーパーバイクレース in 鈴鹿」の決勝レースが開催された。前日まで好天に恵まれたが決勝日は朝から雨。このウィークで初めてのウェットコンディション。雨にも拘わらず地元モリワキを応援する大勢のファンが鈴鹿サーキットに詰めかけた。
朝のウォーミングアップ走行、清成龍一は3番手、高橋裕紀も4番手につけてウェットコンディションでの手応えを掴んで決勝レース1に臨んだ。 レース1は10周の超スプリントレース。雨脚は朝よりも強くなり4列目からのスタートとなる高橋と清成はスタート直後の激しいウォータースクリーンの中、1コーナーに進入する。 高橋は3つ順位を上げて7番手でオープニングラップを通過、清成は12番手。高橋はさらに2つ順位を上げて5番手につける。2分17秒509のベストタイムをマークすると17 秒台を連発、先頭集団と遜色のないタイムで走行を重ね、5番手でチェッカーを受けた。清成は朝のウォームアップ走行では解消したチャタリングに再び悩まされ、ペースが上げられず10位でチェッカーを受けた。
決勝レース2はウェット宣言のため2周減算の18周となった。雨は止み、路面コンディションは非常に難しくなっていた。レコードラインは乾いているようにも見えるが西コースやホームストレートでは水しぶきが上がる。ここでモリワキの2人はインターミディエートをチョイスした。これが功を奏する。 今シーズン最後の決勝レースがスタート。10番グリッドからスタートした清成はオープニングラップを6番手で通過する。先頭グループが2分17秒後半で走行する中、清成の2周目のラップタイムは2分16秒109。約1秒速いタイムで3番手に浮上する。 一方高橋は、12番グリッドのイン側からアウト側へスルスルっと絶妙なスタートを切ったが集団に行く手を阻まれ外側へ弾き出されて16番手まで大きく順位を落としてしまう。しかし前の集団が2分21秒前後でラップする中、高橋は2分19秒台。その差は歴然で3周目には12番手、5周目には7番手まで順位を上げる。 3番手に浮上した清成の猛追は続く。前を行くワークスチーム2台に対して4周目のS字コーナーで2番手に浮上、そしてその先の逆バンクでインを突いてついにトップに浮上する! トップに立った清成はさらにペースを上げる。2番手より約1.5秒〜2秒速いラップタイムで後続との差をドンドンと広げる。最終的には 23秒799の大差を広げて独走優勝!モリワキにとって悲願の最高峰クラス初優勝をもたらした。 高橋も前を走る集団より約約1.5秒〜2秒速い2分15秒から16秒台のラップタイムで追走、8周目に6番手、10周目に5番手、そして11周目には4番手にまで浮上する。しかしその時点で先頭集団とは約20秒離れてしまいゴール時点で9秒差まで追い詰めるものの惜しくも表彰台には届かず4位でチェッカーを受けた。
KYB MORIWAKI MOTUL RACINGの今シーズンは終了した。 厳しいレースウィークを過ごすこともあったが高橋と清成が収集した膨大なデータでマシンは確実に進化している。そして、今年の集大成とするべく臨んだ最終戦で見事に優勝、有終の美を飾った。しかし決して現状で満足はしないのがモリワキ。明日からチーム・ライダーが一丸となって更なる高みを目指す。 今シーズンの熱いご声援をありがとうございました。
高橋選手コメント
「決勝日がウェットとハーフウェットになったのはモリワキにとっては運が向いていたかなと思います。ちょっとしたことで上位から20番手くらいまで下がってしまう状態だった前日までの走行と比べて、安定して上位に食い込めたことは非常に嬉しく思いますし、チームとピレリタイヤのおかげだと感謝しています。レース2では優勝争いできる条件は整っていましたが、スタートで集団に飲み込まれてしまい後方に沈んでしまいました。そこから挽回して追いついたときにはトップとの差が開きすぎていました。
今シーズン、オートポリスでの3位表彰台、岡山でのポールポジション、今回の表彰台まであと一歩などを鑑みるとちゃんと地に足が着いた状態でチーム力が上がってきて、手応えのある成果を実感できた一年でした。今シーズンの皆さまからの熱いご声援を本当にありがとうございました。」
清成選手コメント
「昨日まで悩まされ続けてきたチャタリングは朝のフリー走行で症状が出なかったのですが、レース1ではリアタイヤがフラれてグリップせず何回かハイサイドしかけました。レース2も雨だと思ったのでレース1はタイヤマネジメントを掴むことに徹しました。レース2、実はサイティングを終えた時に自分はスリックタイヤで行こうと考えていました。カットスリックが好きでは無いと言うものありますがこのコンディションならスリックでもいけるかな、と思いました。しかしピレリとチームスタッフがインターミディエートを強く推すのでみんなを信頼してそのタイヤを履きました。結果的にそのタイヤが見事に機能してグリップも良かったのであのペースで走れたのだと思います。今シーズンはなかなか理想とするマシンのセットアップを詰められず厳しかったです。このままシーズンを終えるのはイヤだな、と思っていたところ最終戦で優勝できたことは本当に良かったです。ここまで自分を信じてくれたチームに感謝しかありません。また、モリワキに対する熱いご声援を送って下さったファンの方にも改めてお礼を言いたいです。本当にありがとうございました。」