モリワキエンジニアリング

キャメル日本グランプリ11位への道

■MotoGPのあゆみ

キャメル日本グランプリ11位への道

ゼッケン19で臨んだもてぎでのジャックは、しかし順調とは言えない予選だった。2003年シーズンで彼が乗ったヤマハYZR-M1のタイムを上回る記録を出し、さい先の良いスタートではあったが、予選結果は21位、しかも決勝日の朝のフリー走行でジャックは転倒を喫してしまう。エンジンに砂を吸い込んだ可能性があったため、スタッフはエンジンの積み替えを決意した。時間はない。すぐにピットのシャッターが閉められ、マシンの分解が始まった。

決勝の時間が迫った。MD211VFは何事もなかったようにきれいに仕上げられ、新しいエンジンに火が入れられた。この凄まじいまでのエンジン交換作業をメカニックは涼しい顔でこなしていた。ジャックは腰を痛めたようだが、スタートに機械的な問題はなくなっていた。

スタートでジャックは1コーナーでの多重クラッシュを上手く避け、15位に着ける。15周目に12位、そして残り5周でドゥカティーのトロイ・ベイリスが転倒、11位になる。これがもてぎの成績となった。最後は腰の痛みと、ほとんどなくなった燃料をだましながらの我慢のレースだったが、再びMotoGPのポイントを獲得した素晴らしい結果だった。2年前、鈴鹿にデビューしたMD211VFはMotoGPに出場できた喜びに包まれた。その年のもてぎ、完走しただけでは満足できなくなっていた。そして去年、ヨーロッパ遠征で初めてのポイントを獲得し、その重さに感動した。そして今回、新たな高みに登ったのだ。